昨年9月にリリースされたiOS 18が、最新のAI機能「Apple Intelligence」を引っさげて登場しましたが、ユーザーのアップデート率は思ったほど伸びていないようです。Appleが公開したデータによると、過去4年間で発売されたiPhoneの76%がiOS 18を導入しているものの、前年のiOS 17と比べて横ばいの状況です。

一方で、iPadOS 18の採用率は微増していることが明らかに。この結果に隠された、ユーザーの心理やデバイス特有の事情について掘り下げていきましょう。

iOS 18の採用率が停滞、その現状とは?

昨年の9月に華々しく登場したiOS 18ですが、採用率があまり伸びていないという状況です。Appleが公開した最新のデータによると、iPhoneの全体的な採用率は68%で、過去4年間に発売された機種に絞ると76%といった数字になっています。ですが、これが「すごい伸びた!」と言えるかというと、そうでもありません。

実は、昨年の同じ時期にリリースされたiOS 17の採用率も同じ76%でした。それどころか、一昨年のiOS 16に至っては81%と、むしろ今よりも高かったんです。これを見ると、「なんか成長してないじゃん?」と思われても仕方ありません。新機能や便利なアップデートがあっても、ユーザーが即飛びつくわけではないという現実が見えてきます。

Appleとしては、AI機能「Apple Intelligence」が大きな目玉だっただけに、この結果はちょっと悔しいかもしれませんね。ただ、ここで注目したいのは、この数字はApp Storeでのトランザクションをもとにしている点。つまり、単純なインストール数だけじゃなく、実際にアクティブに使っているかどうかが影響している可能性もあります。それを考えると、この結果には少し違った見方もできそうです。

ユーザーの反応が鈍い理由を探る

それでは、なぜiOS 18が「まあまあ」の採用率にとどまっているのでしょうか?その理由として考えられるのは、まず「新機能の限定化」です。Apple Intelligenceは確かに魅力的ですが、これがフルで楽しめるのは最新モデルのiPhone 15 Proシリーズからなんです。「だったら今の機種で十分かな」と思うユーザーが多いのも無理はありませんよね。

さらに、iOS 18自体が旧モデルにも対応していることも影響しています。2018年に発売されたiPhone XS以降のデバイスなら、最新のiOSがインストールできるんです。「新しいiPhoneに買い替えなくても、結構いい感じに使えるじゃん!」ということで、無理にアップグレードしない選択をする人も少なくありません。

あと、AI機能や新しい技術に対する一般的な理解度も関係しているかもしれません。「AIって便利そうだけど、実際に何が変わるの?」という疑問を持つ人は多いですよね。そのため、目玉機能があっても「まあ、今すぐじゃなくていいか」と様子見する心理が働くのではないでしょうか。こうした理由が複雑に絡み合っているため、採用率が伸び悩んでいるようです。

iPadOS 18はやや好調、その違いの背景は?

iPhoneでは伸び悩んでいる採用率ですが、iPadの世界ではちょっと違うストーリーが展開されています。Appleの発表によると、iPadOS 18の採用率は過去4年間に発売されたiPadで63%に達しています。この数字、昨年のiPadOS 17よりも少し上がっているんです。ここには、いくつかの理由が考えられます。

まず、iPadは仕事や学習ツールとしての利用が広がっている点が大きいです。最新のiPadOS 18は、マルチタスク機能やApple Pencilのサポート強化など、ユーザーが「これ便利!」と思える機能が詰まっています。「新しいiPadOSでプレゼン資料作りがもっと簡単になった」とか、「勉強がはかどる」といった声も多く、こうした機能が採用率を押し上げているのではないでしょうか。

もうひとつの要因は、iPadが比較的長く使われるデバイスであることです。古いiPadでもアップデートできる範囲が広いため、「とりあえずアップデートしとこう」という意識が高いのかもしれません。新しいデバイスが不要でも、ソフトウェアだけで十分にパワーアップした気分を味わえるのがiPadOS 18の魅力ですね。

それに、iPhoneほど頻繁に新モデルを買い替えないというのも影響しているのかもしれません。「壊れたら買い替えるけど、動いている限りは使い続ける」というユーザーが多いので、アップデートするモチベーションが結果として高いのではないでしょうか。このような違いが、採用率の結果にも表れているのでしょう。

Source:Wccftech