Appleから機密情報の漏えいで訴えられた元iOSエンジニアが、訴訟取り下げ後に謝罪しました。

問題となったのは、未発表のApple Vision Proや社内ポリシーの情報をメディアに流したこと。本人は「当時は分からなかったが、高くついたミスだった」としみじみ語っています。

結局、Appleとの和解の条件として謝罪を選んだようですが、キャリアを失い、多くの人脈もダメにしてしまった彼の未来はどうなるのでしょうか?

Appleの訴訟ターゲットになった元社員とは?

Appleが2024年3月に訴えたのは、元iOSソフトウェアエンジニアのアンドリュー・オードさん。2016年からAppleに勤め、バッテリー性能の最適化などに関わっていたエンジニアです。

しかし2023年、未発表のApple Vision Proをはじめ、社内ポリシーなどの機密情報をメディアに漏らしていたことが発覚。会社をクビになり、さらにAppleから訴えられるという散々な事態に陥りました。

Appleは、彼が「半ダース以上」の秘密情報を外部に流したとして法的措置に踏み切ったようです。しかも、相手は世界トップクラスの企業。訴えられた側からすれば、「相手が悪すぎた…」と後悔しても遅い状況でした。

Appleがこの件に本気だったことは、訴訟の規模からも明らかです。裁判に持ち込まれていたら、個人で戦うのはほぼ不可能。オードさんにとって、これは「やっちゃいけないミス」の代名詞になるかもしれません。

結局、彼はどうやってこのピンチを切り抜けたのでしょうか?

「これは高くついた…」エンジニアの後悔と謝罪

Appleとの和解の条件として、オードさんは公の場で謝罪することになりました。彼はX(旧Twitter)に謝罪文を投稿し、その内容からも後悔がにじみ出ています。

「8年間Appleで働き、未発表の製品や機能にアクセスできる立場だった。でも、それを秘密にせず、ジャーナリストに話してしまった。この判断がとんでもないミスだったことに、後になって気づいた」

オードさんは、キャリアの崩壊だけでなく、業界で築いた数百もの人脈も失ったと語っています。「情報漏えいは割に合わない」と断言し、特にAppleの機密保持に尽力していた元同僚たちに申し訳ないと謝罪しました。

つまり彼は、「たった一度のミス」でエンジニアとしての未来を失ったわけです。これまで積み上げたキャリアが、一瞬で崩れることもある…この事件は、すべてのエンジニアにとって他人事ではないかもしれません。

では、Appleはなぜ訴訟を取り下げたのでしょうか?

訴訟回避のカギは“素直な謝罪”だった?

Appleはなぜオードさんを許したのか? それは「謝罪の価値」があったからかもしれません。

大企業の訴訟は、たいてい長期戦になります。Apple側が勝ったとしても、裁判にかかる手間や費用を考えると、そこまでして一個人を追い詰めるメリットは薄かったのでしょう。

それなら、「心からの謝罪」を条件に手を引く方が合理的です。結果的に、オードさんは裁判の泥沼から抜け出すことができました。

とはいえ、彼のキャリアが元に戻るわけではありません。エンジニアとして再出発するには、Appleほどの大企業の信頼を裏切った事実と向き合わなければなりません。

「情報漏えいの代償は高すぎる」——この事件が業界に与えた教訓は大きいでしょう。オードさんの謝罪が、同じ過ちを防ぐきっかけになることを願うばかりです。

Source:Wccftech